レストランについて

お店について、少しお話させていただきます。

天井に見える梁などの木材の90%は、茨城県産の木材を使用しています。ひび割れたり、少し曲がったりしますが、それは木が生きている証です。
茨城県産材を使うことで、いばらき木づかい事業からの補助をいただいています。
テーブルや椅子は、石岡市川又にある『家具工房 REW CRAFT』の長谷川利雄さんに造っていただきました。木目も手触りも、座り心地も満点の家具たちです。椅子の座面の半分ほどは、社会福祉法人白銀会を利用されている知的ハンディのある方たちが手作業で編み込みました。少し穴が開いているものもありますが、お許しください。初めての作業でした。

テーブルの支柱はつくば市在住の鍛冶屋『カジコジ』の池田耕治さんに造っていただきました。門扉と入口のドアのアレンジにも『カジコジ』さんの鉄が使われています。一番大きな作品は、店の真ん中にあるピッツァ窯のフードです。堂々とその存在感を示しています。

ピッツア窯は、群馬県前橋市にある『(株)増田煉瓦』製のオリジナルです。数年前に増田煉瓦の増田社長と出会った時に、この窯以外に無い、と決めていました。その可愛さは、夜になると一人でロボットのように店の中を歩いているのではないかと思わせます。
ディナーの時間に使っています食器は、笠間市福原に『BON窯』という工房を構える陶芸家稲吉善光さんに作製していただきました。色合いも、形も、とても柔らかな風合いの、オリジナルの器です。

庭創りは、石岡市小幡の山の中で、山と共存されている『設計工房瀬川』の庭師、瀬川正明さんに「雑木林を創ってください」とお願いしました。庭と建物が一体となり、一つの小宇宙が出来上がります。春の芽吹き、夏の深い緑と風、秋の夕日と紅葉、冬の月と星空、そして雪景色、想い描いてみてください。庭は年々成長していきます。四季折々のその時の庭を楽しんでいただきたいのです。

ピッツァ窯を除く全てのものは、地元の方々の手によって創造されたものです。この地域に、茨城の地にこれほどに優れた職人さんがおられることに感動し、また、皆さんが快く協力してくださったことに感謝しています。

食材について、少しお話させていただきます。
ピッツァ生地は、茨城県産小麦粉 ゆめかおりと茨城県産の米粉で作っています。米粉を配合すると生地が伸びにくくなりますが、米粉のもっちり感を味わっていただけます。

野菜や果物はJAさんと、石岡市鹿の子にある農業生産法人白銀ファームの有機栽培、無農薬、そして露地ものにこだわった野菜を提供しています。野菜本来の力強さをご賞味ください。白銀ファームでは知的ハンディのある方々が野菜やお米を作っています。

豚肉は、石岡市上曽の『三輪農園』の三輪さんが育てた豚を使わせていただいています。ここの養豚は、酒米用に精米されるときの米ぬかを飼料に使っておられるそうで、豚肉特有の臭みもなく、脂身にも甘みがあり、とても優しい味がします。が、飼育頭数が少ないため、月に2回の出荷であり、時には皆様に提供出来ない時があるかもしれません。

牛肉は茨城町小幡の『(有)トキワフーズ』を通して常陸牛を入れさせていただいています。ご存じのとおり、茨城県産の銘柄黒毛和牛です。
チーズ、ヨーグルトは石岡市大砂の『石岡鈴木牧場』で作られたものを分けていただいています。この牧場の特徴は、牛の飼料も自家製で作られており、牛舎はとても清潔で匂いがありません。のびのび育った牛の乳からの製品です。

イタリアパンは、石岡市内の朝日里山学校近くの民家を借りて開いているパン工房『パネッツァ』のものです。パネッツァの主、住谷さんはイタリアで修業された本格派のパン職人です。無塩のパンはチーズとよく合います。

コース料理で提供していますキャビアは、石岡市東成井の中島さんが養殖しておられるサメから採れたものを使わせていただいています。アグレステから車で数分のところに養殖場があります。お伺いして初めてキャビアの値段が高い理由がわかりました。サメは8年経過しないと卵を持たないのだそうです。納得です。

食材は全て地産地消です。一つ一つに物語がたくさん詰まっています。一つ一つに優しさと、そしてそこに至るまでの厳しさが秘められています。大切な、こだわりの食材を提供していただく方々にも感謝です。

ワインについてですが、つくば市の『(株)ヴィナイオータ』から購入させていただいています。ここの太田さんはお若いのですが、ご自身でイタリアへ行き、様々な地域のワイナリーを巡って、ご自分の感覚でワインを選んで仕入れられています。中には家族で営むワイナリーもあり、数量が限られているものもあるようで、時に欠品となってしまうものもありますが、添加物の無い、自然発酵のオーガニックワインを提供いただいています。

コーヒーは、『水戸市の障害者支援施設かがやき』で作られたものを使わせていただいています。新豆だけを使って、丁寧に人の手で選別され、焙煎もブレンドも一つ一つ特別製です。
スモークサーモンは北海道清水町の『障害者支援施設 旭山農志塾』で作られたもの、デザートのロールケーキは北海道岩見沢の施設で作られたものを冷凍で送っていただいています。

全ての物たちにストーリーがあります。すべての食材の向こうに作り手の心があります。それを充分に受けとめて、皆様に提供させていただきたいと願っています。

 

トラットリア・アグレステ

総支配人 長谷川 浅美


※アグレステ(Agreste)は、イタリア語で「田舎・田園風景」という意味です。